みなさんこんにちは、ソフト班のうぺです。
この度、組み込みシステムについてのワークショップ「SWEST 28」に参加しました。ロボコンからは現役・OBを含め合計11名が参加し、研究発表としてロボコン用に設計された通信ライブラリの発表を行いました。
SWESTについて
SWESTは岐阜県下呂温泉にて1泊2日で開催される、「議論と交流」を主眼に置いた1泊2日のワークショップです。セッション・ハンズオン・ポスター発表・LT(Lightning Talk)と懇親会で構成されており、学会に近いものとなっています。学生・大学教員だけでなく、産業界からの参加者が多いことも特徴です。
「議論と交流」を主軸にしているため、参加者は原則として議論したい内容や自己紹介を兼ねた「ポジションペーパー」を提出する必要があったりします。フォーマット自由のため、私は深夜に書きなぐったものを提出していましたが、参加者ごとの課題感や見ている世界が垣間見えて非常に面白いものです。詳しくはSWEST実行委員の方の記事を見てみるのもいいかもしれません。
この記事では、メンバーが参加したセッションや、ポスター発表の内容について書いていこうと思います。
ポスター発表
SWESTではポスターや自由成果物(主にハードウェア)を使った発表・交流の機会がインタラクティブセッションとして用意されています。インタラクティブセッションでは、ロボコン用に開発した通信ライブラリである「fibril_can」について発表しました。これはCAN FD + ROS 2環境特化の通信ライブラリで、マイコン側に通信仕様をもたせることと、自動的にROS 2との通信が行えることが特徴です。詳細については後日紹介します。インタラクティブセッションでは、この発表を通じて、CANの主な用途である車載での使用方法・開発手法・事例についての情報交換をすることができました。学生ロボコンを含むロボコンOBの方も多く参加していたため、ロボコンの現在地に興味を持ってくださる方もおられました。
また、他のポスターについても聴講しました。特徴的であったのはその範囲の広さで、組み込み向けの〇〇の手法提案のような内容から、XR/VRに組み込み向けの仕組みを転用してみた、のような派生的な内容まで存在していました。どのポスターにおいても、当然発表内容に直接関わる人が発表しているため、深い議論や裏話を聞くことができました。特に、学会と異なる企業が行う種別の発表を聞くことができたのは面白い体験でした。
基調講演・セッション
基調講演は「AI時代のキョウソウ戦略」と題し、日本企業におけるオープンソース(OSS)やインナーソース(社内のみに公開されるもの)のあるべき姿について、組み込みシステム向けのOSS開発や推進に携わっている東芝の小林良岳氏より講演が行われました。OSSや会社横断の委員会を通じた、共通部分をオープンにして助け合いながらも競争力を保つ姿勢の意義、さらにOSSで見られる「良い文化」を社内に持ち込むことで助け合える環境を育てる必要性について、事例を交えた紹介が行われました。また、AI時代 = トークンコストを考えないといけない時代だからこそ、これらの必要性が増しているということも述べられていました。
ロボコンでも企業でもAIの活用は進められていますが、ものを作る行為が容易になったぶん、知識の共有による意図しない車輪の再発明の防止や、AIを含めた全員の水準の底上げの必要性はいつも感じていましたので、親近感のある発表でありました。
セッションは講義形式・ハンズオン・パネルディスカッションがあり、AIの活用・シミュレーション・組み込みのフレームワークなど多くのテーマが扱われました。同時並行に3つ程度、合計20程度のセッションがあることから、メンバーはそれぞれ自分の興味のあるセッションを聴講していました。筆者はAI活用関連のセッションと、EmbLTを聞いていました。他のメンバーはハンズオン系のセッションへの参加が多かったように思います。
ハンズオンでは、開発中のプロダクトを題材にしたものも見られました。そうしたハンズオンでは、開発中のためまだ実装されていない機能を参加者がシュシュっとその場で実装して、Contributeする場面も見られました。ハンズオンに開発中のプロダクトが出てくるところ、そこから参加者同士で改善が行われるところ、どちらも交流を重視するSWESTならではの光景です。また、そうした議論は対面だけでなくSWESTのSlackでも進行していたので、他のセッション中に関わりに行くこともできます。
EmbLTについて
EmbLTは組み込みに関わるLightning Talkをする回で、夜遅くまで延長戦を含めて続きます。学生から社会人エンジニアまで、広い範囲の内容を多く聞く機会になります。FPGAからESP32のようなマイコンの話まで聞くことができました。
食事・宿泊・温泉
せっかく温泉旅館で行うワークショップなので、温泉旅館ならではの食事・宿泊そして温泉を忘れてはいけません。
食事は1日目の夜・2日目の朝・昼が提供されます。それぞれ旅館らしい料理で、宴会場に集まってみんなで食事をします。そこでも当然隣の人と会話が弾みます。就活の話をする学生さん、大きな声では言えないかもしれないおもしろ事例を共有する人々、いろんな会話が聞こえてきました。
宿泊は、事前のポジションペーパーのカテゴリなどから分けられた部屋で、できるだけ所属がバラバラになるように配置されます。セッションが多く時間が少ないため、部屋であまり会話をできる時間は多くないものの、落ち着いて持ち込んだ作品やナゾ基板を見せられる場面です。
温泉は露天風呂を含めて三つあり、それぞれ違う景色が楽しめます。「セッションだらけで入っている時間がない!」となるかもしれませんが、せっかくなので一つ選んで入ってみましょう。また、温泉旅館としての設備が充実していて、某太鼓を叩くゲームやジム・プールもあります。
参加した感想
組み込みと題してはいますが、XR/VRであったり言語処理系であったりコンピュータ・サイエンス(CS)からエンジニアリングまで広い範囲を扱うカンファレンスでした。そして、交流を目的にしているだけあり、学術業界から車載・IoT・センシングなど広い産業の人々との楽しい時間でした。一日で終わってしまうというのがもったいないほどです(三日くらいほしい)。そして、来年もメンバーを引き連れて参加しようと思います。
SWESTを開催してくださった運営と参加者の皆さん、ありがとうございました!



